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学長・教育学部長より

2013.10.1
学長挨拶      和歌山大学長 山本健慈

  紀学同窓会の皆様には、平素より本学運営に格別のご高配を賜わり心より 御礼申し上げます。
私は、2009年8月より四年間学長を務めてまいりましたが、再任され本年8月より第2期目を務めることとなりました。皆様方には、今までにもましてご助力いただきますよう、この場をお借りいたしましてお願い申し上げます。
さて、2011年から2013年までの3年間は、本学が目指す七つの重点課題を設定した「2011〜2013行動宣言」に基づいた運営を行ってまいりました。七つの重点課題とは、@時代と社会が求める深い教養と、他者とともに問題解決に取り組むことのできる実践力をもつ人間を育てますA学生の学習、研究を支援する図書館を目指しますB和歌山の地域と世界にとって不可欠な農・林にかかわる地域創造支援事業に取り組みますC中学生・高校生が憧れと入学への希望をもてる大学にしますD同窓会等と連携し、学生・卒業生の生涯を支援しますE大学構成員のやる気を高め、持続的に自己改革する組織をつくりますF次の時代の大学経営を担う人材を養成します―というものです。 
この宣言を、リーフレットで広く配布したところ、本学の改革への意欲と決意、そしてそのゴールを分かりやすく伝えるものとして学内外の多くの方から共感を得、文部科学省から図書館充実の予算なども得ることができました。
 今年の5月には、学長第2期目に対応した「2013〜2015行動宣言」として八つの重点課題を設定しました。
後にふれます和歌山大学および各学部の「ミッションの再定義」を踏まえて、次代を担う人材の養成のほか、地域貢献や地域創造支援事業などに取り組む視点から、観光学研究の中心拠点構築や防災・災害時支援等に関する教育・研究プロジェクトに取り組むことを掲げています。本学の観光学教育・研究の評価は高く、文部科学省や関連業界との間でも本学を日本の観光学研究の拠点にしようという合意が形成され、来年四月の観光学研究科博士課程の設置が具体化しつつあります。また、紀伊半島における防災・減災に和歌山大学としてどう対応するかについての方針作成のため、世界的にご活躍の研究者による有識者会議などを設置し、地域の切実な課題に応える体制を整備しようと考えております。
さて現在、国立大学は大転換期を迎えております。日本社会は、過去において経済的、文化的、教育的に多くの成果を生み出し、世界の平和的維持、学術・文化的な貢献を行い、世界の敬意を得て参りました。しかし未来においても、日本が世界の中で敬意を得ることができるのかということが今切実に問われており、その課題に貢献できる人材の養成が、大学、特に国立大学に求められております。時代と社会が求めるこの課題に応えるため、現在、全国の国立大学は、文部科学省とともに、学部・大学ごとの存在意義の再確認作業(「ミッションの再定義」)を行っており、本学もその最中にあります。
教育学部については、この10年私学で養成された教員の採用が大幅に拡大し、国立出身が著しく減少したことにより、その存在意義が厳しく問われています。一方、社会の人間形成機能の衰弱に伴う学校教育の課題の困難さは、高度な人間関係能力と教育技術を備えた教員を必要とし、現職教員に「生涯学び続ける」ことを求めています。地域に配置された国立大学が、この課題を担うのは当然のことであり、その実現に向けて、教育学部では、本年4月より和歌山県教育委員会と連携し、採用教員の初任者研修を担う事業に着手しました。
本学は今、「和歌山大学は生涯あなたの人生を応援します」というスローガンを掲げています。「生涯応援機関」としての和歌山大学にとって、同窓会はもっとも重要な組織です。その同窓会と大学との連携を一層深めるため、2013年4月より、大学本部に「同窓会連携室」を設置しました。学生の生涯の人生を支えることをモットーとする本学が、将来にわたって存続しうるよう、同窓会の皆様には、ともに大学を支えていただけますようよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、紀学同窓会の更なるご発展と、会員皆様のますますのご健勝・ご活躍をお祈り申し上げます。

■教育学部の新たな課題
                       教育学部長  永井邦彦


  大学改革が喧しく論議され、とりわけ教育改革が焦眉の的となっている昨今の情勢のなかで、教育学部長を拝命することになりました。創立一四〇年にならんとする伝統ある教育学部を、さらなる未来へ繋ぐ舵取りとして、重責を全うできるものか、不安を覚えます。浅学非才ではありますが、紀学同窓会会員の皆様のご支援がありますれば、教育学部に押し寄せている大波を乗り越えて行けるものと期待しています。
 大仰な書き出しになりましたが、現在の教育学部・大学院が置かれている厳しい状況をご報告します。文部科学省は大学改革を実行するために、国立の大学・学部に対してミッションの再定義を行っています。  学部に対しては、@実践型のカリキュラムへの転換、A組織編制の抜本的な見直し・強化、B学生の学校現場でのボランティア活動を推進、C大学と学校現場との連携を強化することなどが要求されています。つまり実践的な教員養成に特化し、組織を挙げて実行していくことが問われています。したがって、平成元年から教員養成課程と併存してきた、教員免許状取得を卒業要件としない、新課程は廃止の方向で見直されることになります。 大学院に関しては、@高度専門職業人としての教員養成に特化していくこと、A既存の修士課程の見直し、B県教委と連携・協働して教職大学院の設置を推進すること、C人材養成と並んで、現職教員の研修機能を発揮することなどが要求されています。 学部と大学院に跨がるこれらの課題を纏めると、実践的な教員養成―実践的指導力のある教員の養成と教員の実践的な養成―に加えて、教員研修の役割を積極的に担うことの二点に集約されます。大きな課題が突きつけられていますが、教育学部と大学院はすでに二つの先導的な事業を推進しています。 学部においては、昨年度から和歌山市教育委員会との協定に基づき、市内の公立学校での「学習補充支援推進事業」を展開しています。この事業の目的は「学生の学習支援活動を通じて、学校現場における教育活動の円滑な実施に寄与するとともに、未来の和歌山市の学校教育を支える人材の育成をはかる」ことにあります。学生たちは学習支援員という名称で呼ばれ、昨年度は延べ四八六人の学生が学校現場で一五三六回のボランティア活動に参加しています。そして本年二月一二日には、「教育ボランティア体験」成果報告会が開催されました。二年目に入った今年度は、さらに大きな成果を上げることが見込まれています。 また大学院においては、和歌山県教育委員会と今年度から二ヶ年に亘る「教員免許状修士レベル化に向けた和歌山大学教育学部と和歌山県教育委員会との連携・協働による初任段階の研修の高度化システム構築のための和歌山モデル事業」、略して「高度化モデル事業」を開始しました。
 
 本事業は、一八名の初任者(小学校八名、中学校四名、特別支援学校六名)を従来の県・市教委の初任者研修から切り離し、研修の本部を和歌山大学に置いて、実務を担当するプロジェクト教員三名(校長経験者)と県教委派遣の交流教員一名に、教科教育、教科専門を含む大学院担当教員八名が加わり、大学が中心となって初任者研修を実施する、全国でも初めての試みです。その取組は、@大学で行う合同カンファレンス、A初任者の配属校内における高度化実習、B大学院開設科目を受講することで理論と実践の往還をめざす、の3つから構成され、これらが相互補完的に作用することにより、初任段階の研修の高度化モデルを構築するものです
 以上のように、教育学部・大学院は実践的な教員養成と教員研修に取り組み始めています。私の二年間の任期の間に、これらを推進しつつ、学部・大学院の改革・再編と教職大学院創設を何処まで進めることができるか、その明確な道筋をつけることが私に課せられた任務であると考えています。

※以上は、2013年10月更新。紀学同窓会会報より転載。
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