学長・教育学部長より


■教育学部のこれからと現状について
教育学部長  寺川 剛央


「よい種をまけば必ずよい実がなる。」カシオ計算機(CASIO)の創業者、樫尾忠雄氏の言葉です。教育というものは、言うまでもなく人を育てる営みですが、教育学部は、教員養成、つまりよい種を育てることを通して、社会に実る実をさらによいものにしていく、その社会的責任を負うものだと感じています。和歌山大学教育学部は、140年の長きにわたり、よい種を育て、社会に貢献してまいりました。教育学部長を拝命するにあたり、その重みを痛感しているところです。
さて、教育学部は平成28年度に教職大学院を設置するとともに、既設教育学研究科、教育学部の改革を行いました。改革2年目にあたる今年度は、その内容の一層の充実を図っているところです。今回の諸改革の重点は、次の2点にあります。
①教員の養成・採用・研修という教職生活全体を通じた職能成長を実現する環境づくりへの貢献
②「学び続ける教員」を支援するための、教育委員会・学校と大学との連携・協働による、理論と実践の往還を通した学びの実現
具体的な改革について、学部、大学院とそれぞれ説明します。
学部では、学校教育教員養成課程に一本化した上で、初等教育コース、中等教育コース、特別支援教育コースの3つのコースに再編成しました。また、従来の「教育実習入門Ⅰ」に加え、「教育学部基礎セミナー」などの必修科目を新設し、1年生の早い段階から学校現場を体験しながら、大学での学びと往還を図っています。また、平成24年から始まった和歌山市教育委員会との協定にもとづく学習補充支援事業における学生ボランティアでは、昨年度を例にとると、延べ180名を超える学生が、2400回を超える回数のボランテイィアに参加しました。ボランティア受け入れ校は和歌山市のみならず、大阪府を含む和歌山圏域一円に広がっています。同時に、客員の先生の丁寧なご指導と受け入れ校のご協力により、ボランティアの質も大きく向上し、学校現場と大学をつなぐ学生の学びの充実はもちろん、ささやかながら和歌山圏域の教育の充実に学生が貢献していると自負しているところでもあります。
また、大学院では既設教育学研究科に加え、新たに教職大学院を設置しました。
既設教育学研究科は、学校教育専攻に一本化した上で、教科や教職に関する高度な専門的知識に加え、子どもたちの新たな学びを展開できる実践的指導力を育てることを目標に、学校現場での授業観察や授業実践とその省察を通して、学生の学び続ける力を育てることをめざす実践的科目を必修化しました。
また、教職大学院では、学部からの進学者を主対象とした授業実践力向上と、勤務経験10年程度の現職教員等を主対象とした学校改善マネジメントという二つのコースを設けています。さらに、教職大学院連携プログラムとして、初任者研修プログラム、メンター制による校内支援プログラムが運営されています。この二つのプログラムはいずれも、和歌山県・和歌山市と協力しながら、初任者、若手教員の育成のみならず、先生方のキャリア段階に応じた学びの支援と校内研修支援をめざすものです。
このようにして、和歌山大学教育学部は、教育委員会・学校と協力した授業・プログラムの運営により学生の実践的指導力の向上をめざすとともに、ささやかながら、学び続ける先生方の支援、学校課題の解決に資する存在でありたいと考えています。
それぞれの改革で成果があがりつつあるものの、揚げている理想を実践していくためには、学内教職員の努力のみならず、紀学同窓会の皆様のご支援が必要です。永井邦彦前学部長時代と変わらぬご支援をくださいますよう、お願い申し上げます。

※以上は、2017年12月更新。紀学同窓会会報より転載。