学長・教育学部長より


■教育学部の新たな課題
教育学部長  永井邦彦


gakubucho3 大学改革が喧しく論議され、とりわけ教育改革が焦眉の的となっている昨今の情勢のなかで、教育学部長を拝命することになりました。創立一四〇年にならんとする伝統ある教育学部を、さらなる未来へ繋ぐ舵取りとして、重責を全うできるものか、不安を覚えます。浅学非才ではありますが、紀学同窓会会員の皆様のご支援がありますれば、教育学部に押し寄せている大波を乗り越えて行けるものと期待しています。

大仰な書き出しになりましたが、現在の教育学部・大学院が置かれている厳しい状況をご報告します。文部科学省は大学改革を実行するために、国立の大学・学部に対してミッションの再定義を行っています。
学部に対しては、①実践型のカリキュラムへの転換、②組織編制の抜本的な見直し・強化、③学生の学校現場でのボランティア活動を推進、④大学と学校現場との連携を強化することなどが要求されています。つまり実践的な教員養成に特化し、組織を挙げて実行していくことが問われています。したがって、平成元年から教員養成課程と併存してきた、教員免許状取得を卒業要件としない、新課程は廃止の方向で見直されることになります。 大学院に関しては、①高度専門職業人としての教員養成に特化していくこと、②既存の修士課程の見直し、③県教委と連携・協働して教職大学院の設置を推進すること、④人材養成と並んで、現職教員の研修機能を発揮することなどが要求されています。 学部と大学院に跨がるこれらの課題を纏めると、実践的な教員養成―実践的指導力のある教員の養成と教員の実践的な養成―に加えて、教員研修の役割を積極的に担うことの二点に集約されます。大きな課題が突きつけられていますが、教育学部と大学院はすでに二つの先導的な事業を推進しています。 学部においては、昨年度から和歌山市教育委員会との協定に基づき、市内の公立学校での「学習補充支援推進事業」を展開しています。この事業の目的は「学生の学習支援活動を通じて、学校現場における教育活動の円滑な実施に寄与するとともに、未来の和歌山市の学校教育を支える人材の育成をはかる」ことにあります。学生たちは学習支援員という名称で呼ばれ、昨年度は延べ四八六人の学生が学校現場で一五三六回のボランティア活動に参加しています。そして本年二月一二日には、「教育ボランティア体験」成果報告会が開催されました。二年目に入った今年度は、さらに大きな成果を上げることが見込まれています。 また大学院においては、和歌山県教育委員会と今年度から二ヶ年に亘る「教員免許状修士レベル化に向けた和歌山大学教育学部と和歌山県教育委員会との連携・協働による初任段階の研修の高度化システム構築のための和歌山モデル事業」、略して「高度化モデル事業」を開始しました。

本事業は、一八名の初任者(小学校八名、中学校四名、特別支援学校六名)を従来の県・市教委の初任者研修から切り離し、研修の本部を和歌山大学に置いて、実務を担当するプロジェクト教員三名(校長経験者)と県教委派遣の交流教員一名に、教科教育、教科専門を含む大学院担当教員八名が加わり、大学が中心となって初任者研修を実施する、全国でも初めての試みです。その取組は、①大学で行う合同カンファレンス、②初任者の配属校内における高度化実習、③大学院開設科目を受講することで理論と実践の往還をめざす、の3つから構成され、これらが相互補完的に作用することにより、初任段階の研修の高度化モデルを構築するものです

以上のように、教育学部・大学院は実践的な教員養成と教員研修に取り組み始めています。私の二年間の任期の間に、これらを推進しつつ、学部・大学院の改革・再編と教職大学院創設を何処まで進めることができるか、その明確な道筋をつけることが私に課せられた任務であると考えています。

※以上は、2013年10月更新。紀学同窓会会報より転載。

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